「かえってきたら カンジンチョウのけいこのつづき しましょうね」

 今作の最後を飾る今剣のこの言葉は、自身が成長して帰ってくることの決意を表明するのと同時に、相棒である岩融の成長を確信しているものでもある。

 前述したとおり、彼らは勧進帳の記憶を持たない。今回の出陣で目の当たりにこそしたが、彼らが実際に経験したことではない。

 なればこそ、この言葉は重く、尊い。大切な相棒の成長を信じて疑わぬからこそ、今剣は、独り、旅立っていけるのだ。