「今日の畑当番は、逃がしませんよ」

「私はあなたのやり方が正しいとは思えない。ですが……間違っているとは思わないことにします」


 ラストシーンでの三日月と小狐丸とのやり取り。

 結局のところ自らの口では何も語ろうとしなかった三日月への、これは小狐丸なりの思いやりに満ちた最大限の肯定の言葉である。感情では納得できない、けれど自らの意思で理解を示す。この表明が双方にとってどれほど重いものであるか。


 ここでもう一度、蓮台の半座を分かち合う友が居ないことを嘆く三日月の、あの歌を思い出して頂きたい。

 隣同士に並んで座り、茶菓子を分け合う二振りの姿。互いに信念を曲げることなく、されど寄り添う。
 見ているものは未だに異なるけれど、それでも視線を向ける方向は同じなのだ。

 

 一見コミカルにも見えるこの場面に、私としては胸に込み上げてくる熱いものを禁じ得ない。